儲かる情報で大儲け・のはずだった ニコラス・ダーバス自動売買 3話

投資に関するうまい話はほとんど無い

世の中、うまい話には必ず落とし穴があるものです。特に投資に関わるうまい話でまともなものはほとんどありません。ニコラス・ダーバスもそれに引っかかってしまいます。

儲かる情報で大儲け・のはずだった

「俺は・・・・明日から大金持ちだ!」

ダーバスはお金持ちがどんどん「儲かる情報」を教えてくれるので有頂天だった。その情報に従い次から次へと株を買っていった。そして、彼は大儲け・・・するはずだった。

 

でも、現実は違っていた。

全然、儲からない。

 

儲からないどころか、下がる株も多い。

 

「金持ち連中は俺にイジワルしているのか?」

そんな事を疑ったりもした。だが、どうも違う。

情報で本当に儲かるのか?

例えば、クライスラーだ。

あの金持ちも・・あの金持ちも・・・あの金持ちも・・クライスラーを薦めていたではないか。それなのに買ってから下がり続けている。どういう事だ・・・。

ダーバス自身が、こういう情報では儲からない事に気づくまではかなりの時間がかかった。金持ち達が持っている情報がなぜ儲からないのか・・。

その理由は簡単だった。

「彼ら金持ちも情報で儲けている人間は誰もいないのだ。」

儲けてもいない人間の情報で、他の人間が儲かるはずがない。そんな単純な事も当時のダーバスにはわからなかった。秘密情報の質が悪い。そう思ったダーバスは、情報の仕入れ元を変えることにした。

 

「トロントで情報を集めよう」

当時、ダーバスはカナダに住んでいた。トロントはカナダの大都市であり、株の助言をするブローカーなども沢山いる。彼らにお金を払って情報を貰おうとダーバスは考えた。トロントへ行き、月12ドルも払えば彼の望む情報は沢山手に入った。

「この株を買うなら今すぐ、機会を逃すな」

「半年で資産は倍、チャンスは今しかない」

「限定100名のみ、個人投資家の見方」

「この株は100%以上は上がる」

「100%儲かるなんて嘘を信じるな。当社は95%の確率で儲かる」

ダーバスは、これらの文句を見てこう思った。

ダーバス:\(◎o◎)/!これこそが、本物の情報だ!

入手したレポートも理路整然として納得がいく。もう買うしかない。だって、そうではないか。

「今買わないと損をする・・と書いてあるのだ!」

ダーバスは、有料情報にお金を払い情報を集めまくった。有料情報にこそ、本当の秘密情報があるに違いないと彼は思ったのだ。その結果・・ダーバスは・・・・。

解説:情報の価値

金持ち達は、ダーバスにイジワルをした訳ではありません。彼らは彼らなりに最良のアドバイスをしていたはずです。しかし、善意であるからといって儲かる訳ではありませんね。

なんで、駄目だったのでしょうね?

これは、簡単な事なのです。

「誰もが知っている様な情報は基本的に価値は無い」

ちょっと考えてみて下さい。誰もが同じようにもっている情報があるとしましょう。例えば「米ドルが暴騰する」という情報だったとします。この情報を入手した投資家はどう行動するでしょう。

米ドル買いますよね。

皆で米ドルを買うわけですから、瞬時に米ドルはあある程度上昇してしまいます。金持ちが持っている情報といえど、他の金持ちが買った後の情報ですので既に行き渡ってしまっている訳です。特に今のネト社会にあっては、ほとんどの情報が瞬時に多くの投資家に行き渡ってしまいます。

そうなると、ほとんどの情報には儲けるための価値はないという事になるのです。

そういう理由から、例え金持ちであっても、持っている情報にそれほどの差はない。それと、ダーバスは基本的な分析を忘れていますね。

「彼ら金持ちが株で本当に儲けているかはわからない」

投資でなかなか儲けられないのは日本だけでなく、世界共通の投資家の悩みです。投資家の多くは基本的には儲けていないのが実情です。そういう情報をいくら集めても儲かるはずがなかったのです。投資情報の取り扱いの基本部分も当時のダーバスは気づいてはいなかったと言えます。 そこでダーバスが取った行動は、「無料の情報ではなく有料の情報」集めです。より「秘密情報」に近いものを集める方向へと向かっていくのです。

ニコラス・ダーバス 自動売買物語 目次へ戻る