ポジポジ病で苦しむトレーダー 第5話

FXでもよくあるポジポジ病

ポジションを常に持っていないと落ち着かない。そのために、余計な売買をしてしまい、損を重ね易くなる。それが、FXでよくあるポジポジ病です。ニコラス・ダーバスもその例外ではなかったようですよ。

ポジポジ病になったダーバス

利益・利益・利益〜

ウォール街でル・ケラーに頼むようになってから、幸運な日々が続いた。小さいが、利益がどんどん出るのだ。なかなか優秀なブローカーだ。

ダーバス :君もなかなかのものだねぇ。

ル・ケラー:ダーバスさん、お褒めに預かり光栄です。

私は、金持ちの振りをしながら話す口ぶりもうまくなってきた。そして、いろいろな株の売買を始めた。毎日株を売買していた。

私は、一日の中で必ず株の売買をしないといけないような錯覚に囚われていた。株の売買をしていないとイライラしてくるのだ。こういう人間は、映画で見たことがある。

そう・・薬の切れた麻薬中毒患者

日本では、ポジポジ病とも言われるらしい。いまの私がそんな状況だ。

ダーバス:でも、俺は幸せだ!

だって利益が少しづつ出ているのだ。ダーバスは、株売買に夢中であった。ダーバスは、株売買をしないと不安でしょうがなくなる中毒者のようになっていた。なぜ、そうなったのか。

ル・ケラーが、次から次へと刺激的な情報をくれる。インサイダー情報などもどんどん流してくれる。その度にダーバスは、売買をしないといけない気持ちになっていった。その流れは、どんどん加速してダーバスは自分からル・ケラーに情報を求めるようになっていった。

しかし、よい事ばかりは続かない。

  • 「店頭株」
  • 「インサイダー情報で売買」

どれも、駄目だった。そして、ブローカーのル・ケラーが教えてくれる銘柄もそれほど勝率は良くないという事にも気づき始めた。そして、もっと重要な事にも気づいた。

「お金は結局あまり増えていない」

 

「利益よりも・・ル・ケラーに払う手数料の方が断然大きい」

「一番・・儲けているのは・・・ル・ケラー・・・だ」

ダーバスが、情報での売買は駄目な事に気づき始めたのもこの頃だった。ダーバスは、ここでいくつかの教訓を作りました。一部を紹介しておきましょう。

  • 投資顧問の言う事を聞いてはいけない。カナダだろうとウォール街だろうとそれは同じ。
  • 店頭株に手を出すな。
  • 噂に耳を傾けてはいけない。
  • 運用銘柄を絞れ

そして、投資対象を選ぶためのルールつくりも始めた。それを元に自信満々の銘柄を見つけた。

・・・ 次回へ続く

解説:誰もが最初はポジポジ病

ダーバスに限らず、投資を始めたばかりの投資家の多くが情報集めに夢中になります。ポジポジ病もしかりでこの辺は投資初心者の誰もが通る道でもあります。しかし、ある程度やっていくと「情報で本当に儲かるの?」といった疑問を持ち始めます。

ダーバスも同じような過程を辿っています。

私自身も、小さい頃、投資に限らず金持ちというのは、「情報を人より早く入手してそれを利用した人だ」と思っていた時期がありました。でも、サラリーマンになり、営業でいろんな経営者に会ってそれが間違いであると思い知らされました。

  • 情報や運で一時的に成功する人は確かにいる。
  • しかし、運や情報で成功した人はいずれ落ちぶれていく。
  • 生き残るのは、実力を磨き続けてきた人たちのみ。

お金持ちと言われて、長く会社経営している方で運や情報だけでやっている人はいなかったのです。相場も同様でした。たまに、事務所に顔を出す程度ですが、師匠と仰ぐ林輝太郎氏の周りには多くの相場成功者達がいます。その一部の人たちを見ても、運で儲けた人は一人もいません

通常の社会で仕事やビジネスで成功するのと相場で成功するのとではなんら違うところはないのです。

「情報で金持ちになった人はいない」

これが世の中の現実でもあり、相場の世界も例外ではありません。では、何が重要なのかという疑問が生まれてくるでしょう。そろそろ、ダーバスがそれに気づく頃です。

今回のまとめ

「ポジポジ病」

調子の良い時にのめり込み過ぎるとポジションを持たないと心が不安定になるような状況になる事があります。これが、ポジポジ病です。ポジポジ病は、その後の失敗に繋がり易いので注意しましょう。

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