ファンダメンタル分析では駄目 第7話

ファンダメンタル分析では駄目

ファンダメンタル分析に傾倒していくダーバス。しかし、ファンダメンタル分析だけで儲かると思い全財産を投下して株を全力買いしてしまいます。そこで彼に待っていた運命とは・・・・。

雷鳴と共に崩れたファンダメンタルへの自信

ゴロゴロゴロ・・・雲が音を出している

ゴロゴロ・・・雷が近い

ガッシャーーーン ・・雷が近くに落ちたようだ。

ゴロゴロ ・・・雷鳴は続く

不気味な空模様の下にはダーバスがいた。

「な、なぜなんだ!」

ダーバスは、株価ボードの前で呆然としていた。

  • 9月23日:52・65ドルで1000株買った
  • 9月26日:雷鳴と共に株は下がりだす

雷鳴が株価下落を告げる合図のようであった。ダーバスの計算では、株価は75ドルまで上がる予定だった。それが既に3ポイントも下げている。更に株価は下げ続けた。

10月10日:44ドル

1000株保有しているので、1ポイントで1000ドルの損が出る。3万ドルもあれば、ラスベガスで大きな土地が買える時代である。1000ドルは大金だ。その大金が1日・・いや1時間で消えていくのだ。損の重みに精神が耐えられなくなってきた。「5ドルくらい下げても大丈夫」などと最初は思っていても、人間の心はそれほど強くはない。特に人間は損の圧力に弱いのだ。

それに、ダーバスは「この株は絶対に下がらない」という確信を持ってこの株に全財産を賭けたのだ。そのショックは大きかった。

「もう・・・駄目だ」

ダーバスは、含み損の大きさに耐えられなくなり、損切りを決意した。損の金額は9000ドルとなった。幸い手元にお金は残った。しかし、そのお金は元々ラスベガスの土地を担保に入れて調達したものだ。・・・ラスベガスの土地は手放さざるを得ない

これが、ダーバスの最初の大失敗だった。

一生懸命勉強して一生懸命努力して・・ダーバスは大損をした。

どれだけ努力しようと、筋道がずれていれば絶対に成功できない。ファンダメンタル分析は基礎の勉強としては大事だろう。しかし、それだけで株で儲ける事は出来ない。ダーバスは、それに気づかずに全財産をかけてしまったのだ。

相場の神は非情であった。

解説:相場に絶対は無いが自分は絶対と思いこんでしまう

私も、投資の世界に入った初期の頃にダーバスと同じ経験をした事があります。本を何冊も読み、財務資料の読み方や各種投資指標を研究をして、自分なりの基準に合う銘柄を見つけ出す。

「これが、絶対上がる株だ!」

相場には絶対は無いと頭ではわかっているのに、自分の見つける投資対象は絶対と思ってしまう矛盾に気づかなかったりします。でも、そういう株は絶対といってよいほど上がりません。それが、なぜ上がらないのかは当時はわからずに信じられない思いでした。

FXでも、同じですね。

最初にどの通貨を手がけるか。これも、初めてFXをやる方にとっては悩ましい問題の一つです。FXは株ほど投資対象が多くないのですが、それでも「どの通貨が儲かるんだろう」と真剣に考えるはずです。当時のダーバスも、全くといって良いほど同じ環境だったのでしょう。

さて、ダーバスはこのまま落ちていくのでしょうか。実は、そこには救いの神がいます。絶望の時こそ、成長のチャンス。ダーバスも例外ではないのです。

今回のまとめ

「ファンダメンタル分析だけでは駄目」

ダーバスと似たような経験は、株でもFXでも誰もがやってしまう事です。私も同じような事で大分苦しみました。

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